慰安婦問題 橋下市長、抗議に誠実に答えず

慰安婦問題

2012年10月

橋下市長、抗議に誠実に答えず

吉見教授を使ったうそを言った橋下大阪市長への抗議に行き、面談を求めた件ですが、予想通り、橋下市長側はひどい対応だったとのことです。

・ 市長は参加せず、政策秘書課課長と秘書担当が対応しましたが、市長が参加しない理由を問うと、当初から会わないといっている、の一点張りだったそうです。

吉見さんからの「事実誤認」の指摘についても、市長は無視したという形です。新聞報道では、雑誌を見て言ったということで、文書で応答するといっているようですが。

予想通り、橋下はただ、右翼的な雑誌の情報をただ付け焼刃で言っただけなのです。そして当の教授が、私はそんなことは言っていないというのに会って謝罪もせず、話も聞かないという失礼な態度です。週刊朝日を罵倒しながらこれです。

週刊朝日事件でも、母親に雑誌を送りつけたと激怒していましたが、妹が買っていたということで、橋下の勝手な思い込みでした。事実を踏まえず、罵倒するというのもDV加害者の典型的行動です。

 記者会見には多数のマスメディアが来ており、韓国のKBSが東京から取材に来ていたので、韓国にもこの橋下のいい加減さが報道されています。韓国では日本とは違ってこの問題は大きな問題となっています。

吉見教授の緊急学習会では、橋下わい曲発言の間違いを一つづつ資料と共に説明してくださったようです。私は参加できず残念でした。

以下、橋下市長に対する吉見さんの抗議文です。

2012年10月23日

大阪市長 橋下徹様

                            中央大学 吉見義明

今年8月24日のいわゆる囲み取材において、あなたは日本軍「慰安婦」問題に言及し、「吉見さんという方ですか、あの方が強制連行の事実というところまでは認められないという発言があったりとか」と述べていますが、これは明白な事実誤認であり、私の人格を否定し、名誉を棄損するものです。この発言を撤回し、謝罪することを要求します。

私は、1991年末から日本軍「慰安婦」問題の研究をはじめ、これまでに、『従軍慰安婦』(岩波書店・1995年)、『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』(共著・大月書店・1997年)、『ここまでわかった! 日本軍「慰安婦」制度』(共著・かもがわ出版・2007年)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(岩波書店・2010年)などで、日本軍「慰安婦」制度は軍が作り、維持し、拡大していった性奴隷制度であり、被害者の女性たちは強制連行され、強制使役された、と述べています。発言される前にこれらの著作を見ていれば、上記の発言が誤りであることはすぐに分かったはずです。

あなたは、軍・官憲が暴行・脅迫を用いて連行する場合(軍・官憲による略取の場合)以外は強制連行ではないとし、そのような連行はなかったと言っていますが、中国・東南アジアでは、このような連行は数多く確認されている、と私は述べています。たとえば、インドネシアで起きたスマラン事件をあなたは否認するのでしょうか。

次に、日本・朝鮮・台湾から女性たちを、略取・誘拐・人身売買により海外に連れて行くことは、当時においても犯罪でした(誘拐とは、ご承知のように、甘言を用いたり、騙したりして連れて行くことです)。誘拐や人身売買も強制連行である、と私は述べています。実際に誘拐や人身売買を行った者が業者であったとしても、軍・官憲がこれら業者を選定して女性たちを集めさせたのであり、また、誘拐や人身売買であることが判明しても、軍は業者を逮捕せず、女性たちを解放しなかったから、軍には重い責任がある、と私は述べています。

また、「慰安婦」制度は、女性たちの居住の自由、外出の自由、廃業の自由(自由廃業)、拒否する自由がない軍の性奴隷制度であり、どのように連れて来られたにせよ、女性たちは強制的に使役された、と私は述べています。

以上のような私の見解を検討せずに、私が「強制連行の事実というところまでは認められない」といったと述べるのは、明白な事実誤認であるといわざるをえず、強く抗議するとともに、発言の撤回と謝罪を要求する次第です。

っせん∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

伊田広行's あれこれ

伊田が過去に書いたものなどが見れるHPです。伊田の基本紹介の「第1HP」、DV関係の「第2HP]、に次ぐ、第3番目のHPです。 ブログで今見れるもの以外で、昔に書いたものが中心です。